『耳をすませば』のスピンオフ作品として、宮崎駿自身が柊あおいにリクエストしたことがきっかけで生まれたコミックス『バロン 猫の男』が原作の『猫の恩返し』。テンポよく進んでいく、恩返しをしたい猫と、それから逃げる主人公・吉岡ハルとのフーガ(遁走曲)劇を、素敵な猫の紳士バロンが仲間と一緒に助けてくれるコミカルな作品です。シンガーソングライター・つじあやのが歌う「風になる」のメロディーも、作品の世界観にとてもよく合っていて印象的でした。
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ジブリ『猫の恩返し』を無料視聴できる配信サービス一覧
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ジブリ『猫の恩返し』を登録不要で観れる無料サイトの状況
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『猫の恩返し』の作品紹介
あらすじ
吉岡ハルは、何かとおっちょこちょいな高校生。朝にはめっぽう弱く、今日もカモシカのような俊足で走ったものの見事に学校には遅刻する始末。片想いをしているクラスメイトには思いを告げる勇気もなく、変わり映えのしない毎日が続くだけ。
そんなある日、学校からの帰り道に事件は起こります。キレイな出立ちの猫が車に轢かれそうになったところを、ハルがすんでのところで助けたのです!ハルも猫も無事、めでたしめでたし…とはいかず、その日の晩、更なる事件が起こります。何と、狐の嫁入りよろしく猫の大名行列がハルの家までやってきたのです!何事かと驚くハルに、猫たちはこう言います。「あなた様が助けてくださったのは、猫の国の王子です。ぜひ、あなた様にご恩返しをさせてくださいまし!」
とは言えその「恩返し」の内容たるや、大量のラクロスのスティック(ハルが猫を助けた時に、部活動で使うスティックを折ってしまったため)や庭一面の猫じゃらし、大量のネズミにまたたび天国…と、およそ人間のハルにはありがたくないものばかり!「もう、どうにかしてよ!」と悲鳴をあげるハルに提案された恩返しの解決策が「猫の国にご招待します」。もう何が何だかと呆然とするハル。猫が去っていくと、今度は聞いたことのない声が話しかけてきます。「猫の国に行ったら、猫のお嫁さんにされてしまう。行ってはだめ!」
声の主はさらに、「猫の事務所を探して、助けを求めて」とハルを諭します。こうしてはいられません、猫たちがハルを「お迎えに上がる」のは今夜です。ハルは急いで、猫の事務所を探しに行くのでした。
もしあなたが
ちょっと不思議で
困った事に出会ったら
そこを
訪ねてみるといい
そこには・・・・・
『猫の恩返し』ってどんな作品?
ジブリ作品の中でも屈指の純愛アニメとして人気を誇る『耳をすませば』の主人公・月島雫は、大の本の虫でした。彼女が、相思相愛の仲になる天沢聖司くんに影響されて「自分のやりたいことを見つけたい」と意気込み小説を書くのがこの作品のひとつのハイライトですが、その時に書いたのとは別の作品という位置付けで、雫が書いた作品として生まれたのが『猫の恩返し』です。『耳をすませば』ではとてもシリアスだった世界観が一変し、主人公・吉岡ハルと猫の男爵・バロンのドタバタコメディと、ちょっぴりときめく恋愛ドラマの要素がバランス良く噛み合った作品です。
登場人物
- 吉岡 ハル(声:池脇千鶴)
この物語の主人公。ラクロス部に所属するだけ合って運動神経ば抜群ですが、反面おっちょこちょいな性質で、何かと転んだりトラブルに巻き込まれたりしやすいようです。クラスメイトの町田くんに片想い中ですが、好きな理由は「カッコいいから♡」という凄まじくちょろい女子であるという…。学校からの帰り道、車に轢かれそうになった猫を助けたことで、猫の一族、その中でも猫の王様一向からとんでもない「恩返し」の数々を受ける身の上に!挙句猫の国に「ご招待」されることになり…。
子どもの頃から猫の言葉を理解することができましたが、無自覚のまま成長。その能力がトラブルを引き起こすのと同時に、彼女を助けることにもなるのです。
- バロン 【 フンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵】(声:袴田吉彦)
「猫の事務所」の所長を務める雄猫。名前こそドイツ然としていますが、見た目は完全なイギリス紳士。紅茶を淹れるのが趣味で、毎回自分で茶葉を調合するためいつも味が変わるとの由(そして毎回美味しいとの由)。
ひょんなことから、猫の国からの恩返し騒動に巻き込まれ助けを求めてきたハルを救うため、大車輪となって働き続けたバロン。逃亡劇の最後の最後、もう本当にだめかと思われた瞬間にハルに放った「俺を信じろ!」という言葉は、ハルだけでなく多くの女性陣の心を鷲掴みにした、はず(普段の一人称が「私」であるが故の、ギャップ萌えですね)。
ハルが元の世界に戻ってから、見違えるような変貌を遂げたのは、バロンに恋をしてしまったから。罪なオトコ。
- ムタ 【ルナルド・ムーン】(声:渡辺哲)
バロンの仲間。もったり太った雄猫。商店街で昼寝をしているところを訪ねてきたハルを事務所に連れて行ってくれました。
- トト(声:斉藤陽介)
バロンの仲間のカラス。普段は石造りの屋根の先に彫られた石像ガーゴイルの姿をしていますが、事務所が動き出すとカラスに姿を変え、自由に飛び回ります。ムタとは折り合いが悪いようですが、なんだかんだ力を合わせて難局を乗り切った、腐れ縁のような間柄です。
- ルーン(声:山田孝之)
ハルが助けた雄猫。実は猫の国の王子様。父親の猫王とは似ても似つかない、誠実な若者。
- ユキ(声:前田亜季)
ハルが子どもの頃に助けた白い雌猫。猫の国のお城に給仕として働いていましたが、いつしかルーンと恋仲に。物語の最後にルーンと結婚することが仄めかされています。
自分を助けてくれたハルをとても大切に思ってくれており、今回の大騒動を解決するために、必死にハルを助けようとしてくれました。
- 猫王(声:丹波哲郎)
猫の国の王様。ボサボサの毛にどんよりした目つき、短慮な性格が周りを怖がらせる厄介な老王。そのくせかわいいハルに目がなく、「息子の嫁にならないのならワシの嫁に…」という無節操なことを言い出すトラブルメーカー。
- ナトリ(声:佐渡井けん太)
猫王の側近。学者のような出立ちで几帳面な性格の雄猫。猫王のあれやこれやに胃を痛める日々…。
- ナトル(声:濱田マリ)
猫王の伝令者。お調子者で楽天的。
動画『猫の恩返し』の見どころ
昔話の定番スタイル「恩返し」
「鶴の恩返し」然り「浦島太郎」然り、何かと日本人の情緒に訴えかける「恩返し」という要素。昔話にありがちなテーマのように思えますが、大抵「恩返し」系のストーリーの結末は悲劇です。恩返しをする側(大抵、動物か神様)と恩返しをされる側(大抵、平凡な人間)が結ばれることはまずありません。窮地に陥ってしまったところを後者に救われた前者が、人間の姿に変身し恩返しをするけれど、正体がバレてしまい姿を消してしまうというのがテンプレです。
さて、『猫の恩返し』の場合はちょっと雰囲気が違います。前半は同じ様相を呈していますが、猫は猫の姿のまま恩返しに徹します。正体がバレても特に慌てるでなし、恩返しをされる側の人間=ハルもあっさり現実を受け入れ、なんなら恩返しをしてくれているユキちゃんにバリバリ感謝しまくりです。どっちが猫なのかわからん。
動物と人間の境界がとても曖昧で、ともすればフェアな立場にいるとも捉えられるような不思議な世界観。だからこそ、悲劇的な展開に至らず、みんなが幸せになって終わることができたのかもしれません。『猫の恩返し』は、とても多様性に満ちた、そして理想と夢に満ちた、現代風のおとぎばなしなのです。
百花繚乱!声を当てている女性俳優に注目!
主人公ハルをはじめ、この作品は多彩な性格を持った女性キャラクターが数多く登場します。彼らのキャラクターをより鮮やかにしているのが、女性俳優の布陣です。
サバサバしたハルの友人ひろみの声を担当したのは佐藤仁美。ハスキーボイスがかえって思春期の女子高校生の声をリアルに感じさせていました。ちなみに一瞬だけ彼女と一緒に登場したメガネ女子のチカの声は、なんと本名陽子。『耳をすませば』のヒロイン・月島雫役の声優でした!
子どもの頃にハルが助け、物語中重要な役割を担うことになる白猫・ユキの声を担当したのは前田亜季。清楚な声がキャラクターらしさにぴったりハマっていました。同じ猫でも、ハルを何かとひっかき回す猫王お付きのナトルの声を担当したのは、独特な演技が評価されている濱田マリ。
そして最も素敵な女性キャラクターなのが、ハルのお母さん・吉岡直子役の岡江久美子です。遅刻しそうな(というかした)ハルを怒るでもなく、「猫と話した!」と話す子どものハルをバカにするでもなく、ハルをひとりの人間として、フェアな目線で会話をする直子というキャラクターに見事に命を吹き込んでいます。「好きなことを仕事にする自由な女性」であるのと同時に、「シングルマザー」であるというもうひとつの顔を持っている直子のリアルな感情の揺らぎは、心に染み渡る優しさを帯びています。
もっと『猫の恩返し』の世界を楽しもう!
猫の恩返し オリジナルサウンドトラック
劇中を彩る数々の楽曲は、『耳をすませば』の音楽担当と同じ野見祐二氏。ところどころ登場する共通するメロディーを聞くと、思わずニヤリとしてしまうかも。
TSUTAYA DISCASなら、30日間無料でDVDだけでなく、CDも一緒に借り放題!映像だけではなく、音楽まで『猫の恩返し』の世界を堪能できます!
曲目
- 1. オープニング (0分31秒)
- 2. ハル、起きてるぅ? (2分13秒)
- 3. ルーンとの出会い (0分45秒)
- 4. 猫とお話 (1分40秒)
- 5. 猫王の行列 (1分20秒)
- 6. 猫の恩返し (1分9秒)
- 7. 空しい放課後 (1分15秒)
- 8. 謎の声 (0分36秒)
- 9. 十字街にて (2分18秒)
- 10. ムタを追って (1分7秒)
- 11. ようこそ猫の事務所へ (1分51秒)
- 12. 後宮への誘拐 (2分25秒)
- 13. ここが猫の国? (0分44秒)
- 14. 猫王の城へ (2分3秒)
- 15. ねこぉー? (1分6秒)
- 16. 猫ジャグラーのルンバ (0分19秒)
- 17. 腹芸猫のポルカ (0分25秒)
- 18. ワルツ 『Katzen Blut』 (1分39秒)
- 19. 私はフンベルト・フォン・ジッキンゲン! (3分16秒)
- 20. 囮じゃねえぞぉー (0分49秒)
- 21. 迷路からの逃走 (2分19秒)
- 22. ルーンとユキ (2分40秒)
- 23. 脱出 (4分34秒)
- 24. 帰れた、私帰れたんだ! (3分25秒)
- 25. 風になる (4分9秒)
- 26. バロン (ボーナストラック) (イメージ曲) (4分22秒)
- 27. 猫王 (ボーナストラック) (イメージ曲) (4分3秒)
- 28. ハルのブギ (ボーナストラック) (イメージ曲) (3分6秒)
- 29. パストラーレ <牧歌> (ボーナストラック) (イメージ曲) (4分38秒)
- 30. ハルのおもいで (ボーナストラック) (イメージ曲) (3分21秒)
関連作品
『猫の恩返し』は、この作品のスピンオフ的ポジション。共通する登人物(?)は「バロン」と「ムタ」のみですが、両者ともにハルのために大車輪で動き且つよく喋るのに対し、『耳をすませば』では、どちらもちょっとシックで大人な雰囲気。原作者や監督の個性が如実に現れています。
本作品『猫の恩返し』と併映されていたショート・ショートアニメーション。ほんわかしたイラストの世界観ながら、そのストーリーは時にはシュール、時にはビターな、おとなのためのおとぎばなし。TSUTAYA DISCASで『猫の恩返し』のDVDを借りれば、一緒に観ることができます。
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- 天空の城ラピュタ
- となりのトトロ
- 魔女の宅急便
- 紅の豚
- 耳をすませば
- もののけ姫
- 千と千尋の神隠し
- ハウルの動く城
- 崖の上のポニョ
- コクリコ坂から
- ゲド戦記(宮崎吾朗監督)
- アーヤと魔女(宮崎吾朗監督)
まとめ
最初から最後まで猫・ねこ・ネコ!とは言えリアルなネコっぽさはあまりなく、みんな普通に悩んだり、横柄だったり、はにかみ屋さんだったり…まるで人間そのもの。もし、猫を飼っている方が観たら「なんかちがう?」と首を傾げるかもしれません。でも、それも私たち人間の目線で見ているからこその一方通行な認識に過ぎないかもしれません。本当の猫の気持ちは、猫にしかわからないもの。猫の世界って、意外とこんな感じなのかもしれませんね。
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